古くから花き栽培が盛んな東温市。
東温市の生産者を訪ね、
栽培方法やその魅力をうかがいました。
生活の中に花がある、
豊かで美しい風景を切り取り
それぞれの魅力をお届けします。
花と対話し、顔色を見て
植物本来の力を引き出す
まるで桜のような可憐な色姿。ブルー系が一般的なデルフィニウムを品種改良し、愛媛県で生まれたのが「さくらひめ」です。2010年に就農した露口真人さんは、農業をする父の姿を見て自分でも花と野菜の栽培をやってみたいと、2015年より県内でもいち早く「さくらひめ」の栽培に取り組みました。「露口さんの花は枝ぶりもよく、持ちがいい」と、今や県内外に多くのファンをもっています。栽培をする上で大切にしていることは、植物本来の力を引き出してあげることだと言います。できる限り農薬使用を減らし、花持ちが良くなるようにミネラルたっぷりのニガリを与えています。「日照時間や湿度の管理など、気を使うこともありますが、基本的には毎日、顔色を見て手を抜かずに世話をすること。水をやっただけでも、美味しそうな表情をするんですよ」と、露口さん。収穫時期は一番花は12月末〜1月末、2番花は3月中旬〜4月、3番花は5〜6月頃。花言葉は「可憐な乙女」、「君に微笑む」、「希望」。
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東温市牛渕の圃場で栽培を行う露口 真人さん。さくらひめの他に、野菜(ミニトマト・セロリ・ブロッコリー)なども生産しています。
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食卓やおもてなしの席にも映える暖かな色み。まとめて花器に生けこむのも美しい
生活の中でアンテナを立てて
学びを農業に還元
以前は県外でお弁当販売の仕事をしていたという沼雄索さん。30歳を目前にした頃、地元に戻り、元々やりたいと思っていた農業をやるようになりました。「シンテッポウユリの出荷が7月中旬〜10月中旬頃まで。長いと12月まで続くことも。その他の時期は米やイチゴなどを育てて、規模は大きくないけれど1つ1つていねいに品質を上げられるよう頑張っています。農業以外の何気ない所から栽培のヒントをもらうこともあります」と沼さん。シンテッポウユリは上に向いて花が咲きボリュームもあり見栄えがする品種。この地域は土が粘土質で肥料もちがよく、山に囲まれた地形は台風や大雨の被害も少ないといいます。草刈りやネットのズレを正すこと、消毒など気を遣うことも多いですが、きちんと計画を立て、日誌をつけて技術を日々磨いていきたいと語ってくれました。
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東温市北方でユリ栽培を行う沼 雄索さん。その他、米や麦、イチゴ、野菜なども生産している
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東温アルプスを望む畑で栽培。ユリは風に弱いことから周囲を防風のために草木で囲ってある