つくり手たち

ヒンメリ himmeli -Straw Lyrics-

ヒンメリ(Himmeli)は、フィンランドの伝統的な幾何学モビールのことで、麦わらを糸でつないで多面体の形を作ります。もともとは収穫祭やクリスマスの時期に飾られ、豊作や幸運を願う意味がありました。

このヒンメリを、原料から育て、紡ぎ制作をしているStraw Lyricsの山本さんをご紹介します。

-山本さんにとってヒンメリの魅力とは?

ヒンメリを制作している中で、ヒンメリを生き物のように感じる瞬間があります。

ヒンメリを構成するものは麦と糸だけなので非常に軽く、人の些細な気配に呼応して回る姿に惹かれます。

仲間や家族と楽しく場を囲んでいるときは、その頭上にあって嬉しそうによく回り、寝室や一人静に過ごしているときは、動いていないかのようなスピードで静かに揺れています。

ヒンメリが揺れると幸せがやってくると言われていますが、先人たちがヒンメリに宿る何かを感じていたからなのではないかと思っています。

-山本さんは、ヒンメリを手作りするだけでなく、原料となるライ麦を育て自身で刈り取り、糸となる生糸を蚕を育てて繭を取り紡いでいます。

ヒンメリは約1,000年続く伝統工芸であり、日本においても全国的に認知され、作家の方も増えてきました。どうオリジナリティーを出していこうかと考えた時に、素材を深く追求していこうと考えました。

愛媛の土地ですべてを一から生み出して作るヒンメリはまだない。素材を一から育てるヒンメリ作家になろうと決意しました。畑作りや蚕を育て糸にしていくことはとてもハードルが高く問題だらけでしたが、友人達やそこからまた広がった協力者の輪によって実現できました。本当に感謝しかありません。

ライ麦は11月頃種まきをし、1月に麦踏み、5~6月頃に手作業で刈り取りをします。その後しっかり乾燥させて、必要な長さにカットしていきます。

蚕は、孵化した状態で届き、そこから約1~1.5か月かけて育てていきます。蚕が大きくなるにつれ、大量に必要になる新鮮な桑の葉を確保するために、東温市内を奔走しています。

命のサイクルを見届けて形にするこの長い工程は、私の作品作りの最も重要で大切な部分だと感じています。

中に通す糸は麦の中に隠れますし、わざわざ希少な絹糸ではなくても糸であれば制作はできます。ですが、こんなに美しい糸が形を作っているんだと思うと「ヒンメリが揺れたとき」の幸せが倍増する気がしています。自己満足かもしれませんが。

ヒンメリに使うライ麦には、どこまでも広がる空や、石鎚から吹く風、優しい霧雨等、育った土地の記憶が宿っていると思います。

-ヒンメリを通じて届けたい想い等々

ヒンメリを通じてお届けしたいことは、日常の中に流れる「静謐な時間」です。忙しない現代の日々の中で、ふと天井を見上げた時、わずかに揺れるヒンメリが「今、ここ」を教えてくれます。

麦わらは光に当たると金属のような光沢と存在感を示すことがあります。夜の静かな時間にライトに照らされて壁に現れる影もとても美しいです。

ヒンメリは本来、日本のしめ縄のように家族やコミュニティ等人の集まる場所に象徴的に飾られていたものです。冬至の太陽ものぼらない時期に、来年の豊作を願い、家庭の安寧を願い制作され、ダイニングや寝室へ飾られました。

私のヒンメリを気に入っていただいた皆様の暮らしに、ひとときの安らぎを添えることが私の喜びです。これからはその枠を少し広げて、皆様と共に作りあげる時間も大切にしていきたいと考えています。

ヒンメリという手仕事を通じて、ものづくりの喜びや完成したときの感動を共有し、ともに豊かな時間をはぐくんでいけたら幸いです。

 

Straw Lyrics 山本 眞希

Instagram:@straw_lyrics、@kiitos_strawlyrics

 

 

 

 

 

 

 

 

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